最果ての向こう

誰もいない

雨宿り

 雨がすごい降っています。

 バイトだったんですけど、行くときは雨が降っていなかったから、傘を持って自転車で来ました。

 そうしたらどうだ。帰るときになったら雨が建物を打つ音が激しすぎて引きました。

 「雨宿りをしていったら?」と言ってくれたので、客席でデザートとドリンクバーを頼んでぼーっとしています。

 雨にまつわる話は特にありません。

 プールのある日とか運動会の日に降ってほしいと思って逆さまのてるてる坊主を作ったけど降ってくれなかったので、雨女でもないです。

 けれどもわたしの好きなバンドのボーカルは雨男で、ライブのある日にはよく雨が降るし、今年の誕生日にも雨が降っていました。

 今年のツアーで遠征として名古屋に行ったのだけれど、それも一日目には雨が降っていて正直泣いたし、ツイッターでは「○○(ボーカルの名前)の雨男っぷりには呆れを通り越して感心する」と呟きました。

 早朝に新幹線に乗り、名古屋に到着したら見事にざあざあ降っていました。

 その時点で結構ホテルに引きこもりたかったのだけれど、なんとしてもグッズがほしいのでホテルに荷物を預け、会場に向かいました。

 12時にグッズが販売開始されるものの、わたしが会場に着いたのは10時半過ぎ。

 その時点で結構並んでいて、「まじかよ……」とげんなりしてしまいました。

 そこから一時間半。ざあざあ降る雨の中、折り畳み傘をさして一人で待ち続けました。

 通気性のいいスニーカーを履いていたのでどんどん雨が浸水してきて、体温がどんどん下がっていく。(ちなみにこの時6月上旬)

 スマホいじってたら充電減るし、ウォークマンは取り出すのさえ面倒くさかったです。

 だからひたすら地面や二つ前に並んでる人たちのかばんを見て過ごしました。

 なんだかんだグッズを買えたのは並び始めて二時間が過ぎた頃で、速攻名古屋駅に戻って地下街で味噌カツを食べ、ホテルに戻って時間まで寝ました。

 それからまた会場に行き、ライブを見て「目が合ったあの歌詞のときにわたしを見たってことはわたしのことが好きなのかもわたしも大好き……」とクソ女化しました。ちなみにガチ恋ではないです。そのバンドメンバー全員が好きなだけ。本当です。

 二日目は雨男の影響を受けなかったのか晴れていました。

 二日目はとにかく食べまくり、ライブで泣き、ライブ後も食べ、死を覚悟して人生初の夜行バスに乗りました。

 一日目に浸水したスニーカーは雨の臭いが移りとてつもなく臭くなっていました。

 だから靴が脱げなくて、体がつらくて、夜行バスの中で何度も起きました。

 車内は真っ暗だし窓はカーテンで見えないようになっているし、バスめちゃくちゃスピード出しているように感じるし、外見えないから怖いし、足も首も痛いし、夜行バスは事故が多いイメージがあったからもう死ぬんだろうなとネガティブになっていました。

 正直無事東京に着いたときは「生きてる……!」と感動しました。

 夜行バスのガイドさん、運転手さん、ありがとうございました。

 でもたぶん自分から夜行バスに乗ることはこの先一生ないと思います。

 そんな名古屋ツアーでした。

 雨からなんでこんな話になったんだ。

 突然ですがわたしの視力は裸眼で0.1ほど。

 コンタクトは怖いからできない。メガネは似合わないから、授業とか映画を見るとき以外はかけない。

 だから当然窓を見て雨が降っているかどうかなんてわからないわけです。

 歩いている人を見て傘をさしていなかったら雨が降っていないと判断しています。

 デザートを待っている間に見てしまいました。外歩いてる人、傘さしてないな、と。

 帰れるじゃん……。

 もうデザートはとっくに食べました。

 帰ろう……。