最果ての向こう

誰もいない

僕たちはいつもそばにいた

 感謝している人はいますか?

 わたしはいます。バンドとかもそうなんですけど、他にもいます。

 それはゲーム実況をしている二人組なんですけど、あえて名前は伏せます。けれどゲーム実況をよく見る人、昔からニコニコ動画をよく見る人はわかるかもしれません。

 去年の今頃、訳あってかなり病んでいました。

 情緒不安定にもなっていて、笑っていたかと思えば急に暗くなる生活を送っていました。友達には迷惑をかけました。ごめんね。

 眠る前「なにもたのしくないし、このまましんでもいいや」と思う日が続いたのはあの時期が初めてです。

 そんなときに彼らに出会いました。嘘です。

 前々から動画は見ていたのですが、ゲーム実況しか見ていませんでした。

 彼らがただ話をしている動画は見たことがありませんでした。

 その頃病んでいてとにかく黒バスを忘れたかったわたしは布団の中でその動画を再生しました。おそらく目は死んでいたことでしょう。

 そしたらもう、離れた部屋にいた母親に「すごい笑い声聞こえてきたけどどうしたの?」と言われたほど笑いました。

 その動画は彼らが開設している有料チャンネルで放送した生放送の一部を切り取って動画化したもので、「こんな面白い放送を毎週しているんだ」と興味がわきました。

 そのままチャンネルに入会し、わたしの生活の一部に彼らが存在するようになりました。

 週に一回の生放送を聞きながら過去の生放送のアーカイブを聞く。そんな生活をずっと続け、やっぱりまだ苦しいけれど、少しずつ黒バスに関しても落ち着いて見れるようになりました。

 あのままチャンネルに入らなかったら今わたしはどうなっていたんだろうとよく考えますが、何回考えてもあまり良い状態ではないことは確かでした。

 大袈裟かもしれませんが、彼らがわたしを救ってくれたのです。

 今でもチャンネルに入会しているし、生放送はリアルタイムで聞けませんが毎週タイムシフトで聞いています。

 そんな彼らの住んでいる地域が災害に見舞われました。

 朝起きて、ツイッターを開いたら「北海道に震度6強地震」という文字が飛び込んできました。

 北海道に住んでいるフォロワーさんたちのツイートからもただ事ではないことがうかがえました。

 頭が真っ白になりました。

 好きな人たちがいなくなるかもしれないという恐怖があんなに恐ろしいものだと知りませんでした。

 結果から言うと、彼らは無事でした。

 無事でしたが、停電が続き電波も不安定なので来週金曜日まで活動は休止すると発表しました。

 (お決まりの動画投稿詐欺を繰り返しているので実質週一の生放送しか活動していないとはいえ)普通の生活を送れるまで自分たちを優先してほしいです。

 もしも彼らがいなくなってしまったら、と改めて考えたときに、もう立ち直れないだろうなと思ったのです。

 他の実況者じゃだめなんです。話のうまい他の人でも駄目なんです。

 彼らのような人生を送ってきた人は他に誰もいないのです。

 彼らのような関係性の親友を持った人などいないのです。

 彼らのすべてが心から好きで、地獄のような日々を彼らに救われました。

 少しでも早く北海道が復興しますように。